前腕コンパートメント症候群/よの中央接骨院
2016.01.26更新
前腕部は筋が3つの区画に分かれていて、この区画内の内圧が上昇して血行障害や神経障害をきたし、筋の機能不全を引き起こしたり場合によっては筋壊死にいたるものもあります。これをコンパートメント症候群といいます。
前腕の3つの区画には、①屈筋群コンパートメント、②伸筋群コンパートメント、③橈側伸筋群コンパートメントがありますが、コンパートメント症候群を起こすのはほとんどが屈筋群コンパートメントです。
発生機序
コンパートメント症候群には、
⑴骨折や打撲、組織の圧挫など外傷による筋内出血、浮腫により発生する急性型のもの。
⑵ウエイトトレーニング、オートバイレース、車椅子レース、剣道などの運動を続けたりすると発生する慢性型のもの。
⑶きつい包帯やギプスなどによる圧迫により発生するもの。
があります。慢性型は、運動による筋容量の増大に対応して区画が拡大できない結果発症します。原因として筋膜の肥厚が考えられます。また、長時間のトレーニングにより筋肥大が区画内の余地をすでに少なくしてしまっている可能性もあります。
症状
急性型は急速に症状が進行します。初期症状としましては、障害されたコンパートメントに一致した圧痛、自発痛、腫脹があります。
特徴は、障害されたコンパートメントの筋を他動的に伸展させると痛みが増強することです。
進行するとコンパートメントは硬く腫脹し、手指は屈曲位を取るようになって感覚障害や運動麻痺がみられます。
最終的にはフォルクマン拘縮や鷲手変形、前腕回内拘縮などをきたし、不可逆的(治らない)な変化に至ります。
慢性型は可逆性(治る)な変化で、運動中に痛みを生じるものであって、安静時には症状がありません。
治療法
急性型は急速に進行するので、高挙および冷却し、内圧の上昇を極力防ぎ、至急医療機関に搬送しなければなりません。包帯、ギプス装着時であればすみやかに除去します。
慢性型では冷却し、安静を保持し、スポーツ活動を休止します。
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